女の子は、砂糖と、スパイスと、沢山の素敵なもので出来ている………と言うような詩を聞いた事がある。 でも、それは嘘だ。 きっと、ただ一人至上の主と認めたこの人も、砂糖と、スパイスと、沢山の素敵なもので出来ているに違いない。 そうでなければ、こんなにも甘く、馨しく、艶めいてなどいないだろうから。 女性のような丸みも、膨らみもない体。けれど、男性的な要素も薄い体。まるで、石膏で作られた美しい像のような、中性的な肢体。 けれど、石膏のように冷たくはなく、まるで、溶ける砂糖のように、舌の上で肌が蕩ける。 大きく開かせた足の間に顔を埋め、制止の声に耳など傾けず、キャンディーのような中央のものを口に含む。 「ふあっ!」 硬直した足が、閉じようと動くが、柔らかい内股に手をかけてそれを阻む。 止めろと、何度も声が下りてくる。汚いからやめろ、と。 けれど、それは嘘だ。この人の体に、汚い場所など一つもありはしない。全てが極上のお菓子のようだった。 全部、全部、欲しい。そうだ。自分は、子供の頃から…一目会ったあの瞬間から、この人の虜になっていたのだ。決して逃げられない、ルルーシュと言う名の檻の中で、飼われていただけだ。 「あっ…や、めっ………んんんっ!」 唇を噛んで悲鳴を飲み込んだ体が強張り、口の中で欲望が弾ける。 蜂蜜のように濃厚な蜜を全て飲み下して、汚れなど一つも残さないように舐めまわす。それだけで、一度頂点へ達したそれは、再びゆるゆると立ち上がる。 ぐったりとした体。枕に押しつけられた顔は、涙でぐしょぐしょだった。けれど、そんな顔すら、可愛いと思う。全て、全てが……… ああ、欲しい。この人が。他には何もいらない。地位も、名誉も、権力も、この人が手に入るのならば、それらは全て塵芥と同じだった。 指をたっぷりと唾液で濡らし、誰も触れたことなどないだろう秘花の入口へとそえる。人差し指を、ゆっくりとその中へ侵入させると、枕に押し付けられていた顔が、恐怖に彩られたように見下ろしてきた。 「な、何、して…ジノっ!」 「………すみません。傷つけたく、ないんです」 優しく、柔らかく解して、蕩けさせたい。それこそ、熱い鍋の中で砂糖が溶け出すように。 指を使いながら、顔を近づける。舌で入口を解しながら、二本目の指を中へと入れ、奥へ進もうと、少し力を込めた。 「あうっ!」 びくりと、細い足が震える。秘花の中で、二本の指をあちらこちらへと動かし、知らない感覚に打ち震える内壁を擦る。段々と熱くなってきたその場所に、三本目の指を入れ、それぞれに違う動きをさせると、内股が堪えるように痙攣した。 じわりと、指先に触れる何か。それを感じている証拠だと受け取り、柔らかくなったそこから顔を離し、指を引き抜く。 「殿下………すみません」 「な、に…えっ?あっ、やっ…ああああっ!」 甲高い声が、喉から絞り出させる。本人すら知らない場所へと欲望を突き入れる。 痛みと圧迫感に堪えて閉じられている瞼の上へ、何度も、何度も、キスをした。シーツを掴む手へそっと触れて、筋が浮かぶほど白くなったその手を包み込むように指を合わせて重ね、体温を分け与えるように、体を重ねる。 熱い。ただ、目の前に居る人の美しい姿しか、目に入らない。 次から次へと沸き起こる欲望が、理性を突き破る。 重ね合わせた手を、シーツの上へ縫いつけるようにし、細い体を強く揺さぶるようにして、腰を突き上げる。 「あっ…んっ…あぁっ、あっ」 揺さぶられる度に零れる、甘い声。その声が欲しいと、唇を唇で塞ぐ。 「ふぅっ、んっ」 声も、蜜も、肌も、心も、髪の一筋までも、全てが欲しい。 そう思った瞬間、熱く包み込んでくれている秘花の奥へと、欲望を放っていた。 「んっ………殿下」 「はっ………あっ…んあっ」 とろりと溶けた紫が、ゼリーのようで、淡く紅く上気した白い頬がマシュマロのようで、下腹部に再び熱が集まる。 ああ、だめだ、止まらない………そう思うと、考えるより先に体が動き、華奢な体を抱き上げていた。 「ああっん!」 目の前にある赤い二つの果実の片方に唇を寄せて吸いつく。胡坐を掻くようにした腰の上に白い体を抱え、腰を突き上げる。行き場を失った腕が、縋りつくように背中へと回される。その指先が、梳くように金色の髪の中へと差し入れられた。 「殿下…殿下…」 何度も、何度も呼ぶ。突き上げられるたびに互いの腹の間で擦られる欲望からも、とろとろと蜜が零れだしていた。 勿体無い、と思って手を添え、上下に擦る。 「だ、めっ…やめっ、ジノっ!」 ふるふると左右に顔が振られ、目の前で黒い髪がはらはらと揺れる。けれど、勿体無いのだ。零したくない。そう思って手を添えていると、手の中で蜜が弾けた。 と同時に、秘花の内壁が窄まり、熱く締めつけてくる。耐えられずに華奢な体を抱きしめて、二度目の情熱を吐き出す。 「はっ…っ…」 荒く肩で息をして、抱き上げていた体を横たえ、秘花から己の猛る欲望を引き抜く。 こぷり、と音を立ててそこから溢れ出した背徳の白が、眩暈を起させる。指を伸ばしてその入り口を少し広げると、後から後からそれは溢れ出してくる。 「も………やっ………」 唾液の零れる赤い唇が、戦慄く。衝撃を与えないようにそっとその体をうつ伏せにし、後ろから抱きしめ、柔らかい秘花へと再び侵入する。拒むことなく受け入れられたそこは温かく、熱く、包み込んだ。 「殿下………」 「やめっ、名前、で…呼、べ、って」 逃げようとするように、腕が伸ばされて枕に縋る。震える唇の要求に微笑んで、香り立つ細い首筋に吸いつくように口づけて赤い痕を残し、何より愛しい音を言葉にする。 「はい………ルルーシュ」 ![]() 2008/6/14初出 |